ミツバツツジの便りが届きはじめると、いよいよ丹沢もひととき木花のにぎわいが始まる。ブナの芽吹きと前後するように、斜面のそこここがピンクに色づく。まだ静かな西丹沢を出発する。なごりの山桜もミツバツツジとその色を競う。ゴーラ沢の沢音が聞こえ出すと、ちょっと一区切りな感じでここで休憩していると、歩みの速い人はどんどんと追い越してゆく。先は長いし行動時間はたっぷり取ってあるので別段急がずのんびりと急登を登り始める。この日はわんこが2匹登っていた。わんこに煽られるのは結構つらいが、御主人様もまだ下のようなので、待っている姿もかわいらしい。階段が現れると傾斜も少しゆるむのだが、なぜかいつもここが一番しんどい。程なく山頂はベンチが満員くらいな混雑でまずまず。おにぎりを1個だけ入れて青ヶ岳山荘方面に下ってゆく。連休前半なのでぼちぼと蛭ヶ岳に宿泊していた人達とすれ違う。きょうのメインルートはここ、金山谷乗越から檜洞沢を下り経角沢に出合ってそこを詰めていくというものだ。先行者を珍しく発見、ついて行くのはつまらないので、やり過ごしてから広めの窪地を下っていくと、沢はすぐに両岸が狭まってくる。土の斜面はくずれそうで荒れた感じ、ここは速やかに下る。水流が多くなるとナメも現れいい感じ、30分程で経角沢との出合に到着、右にぐぐっと切って今度は経角沢を登っていく。広めの沢には湿地を好むお花が少し咲いていた。右からの枝沢を2本左からの枝沢を1本やり過ごし、狭い本流に入っていく。登りやすい小滝は楽しくて沢のハイキングって感じです。最後まで詰めると行き詰まってしまうので、左手に同角尾根が見え出したところで尾根に這い上がる。テシロノ頭から下ったちょどいいポジションに出られた。ここから石棚尾根に登りベンチの広場で2度目の食事タイム。残りのおにぎり1個とお菓子とコーヒーでのんびりする。尾根のブナは芽吹きにはまだまだで、にょきにょきと木肌だけを晒している。ここから板小屋沢ノ頭まで1時間、そしてきょうの二つ目のメインルート東沢左岸尾根(仮)を下っていくことになる。板小屋沢ノ頭のカヤっぽい山頂を左から巻き気味に下り、それでも尾根は外さないようにして大きな崩落地に出る。しばらくは痩せ尾根なので落ちないように気遣いながらの下りだ。このあたりはミツバツツジが多く目には楽しいがあくまでも慎重に。崩落地に沿って950mあたりで崩落地を離れて進路は少し北西に取る。ふいに崩れそうなところも現れて面食らったりする。ここから900mあたりは尾根が広くなり、最もRFに気を使うところだ。860mあたりをぼおっとして右の細い尾根に入ってしまう。まあそちらからも下れるのだが、正しいRFをしたいので、860mまで戻り進路を真西に取る。この下りはつねに権現山(1138m)を真正面に見て下る感じだ。770mあたりから若干進路を北に振り650mの鞍部まで下ってゆく。このあたりはかなり間違え易いので地図とコンパスとにらめっこだ。鞍部からは北西の尾根に入り小さなピークを二つ越える。そのまま北西に下ってゆくと、もう真下に駐車場が見えるのだが、うっかり降りると崖っぷちだ。630mで北に振りここは尾根をずうっと忠実に山ノ神の祠まで下ってゆく。 |