丹沢 中川川流域-モロクボ沢、畦ヶ丸(1292.6m)
滝身35mとも言われるりっぱなF1を持つモロクボ沢。F5までは大きな釜を持つ美しい滝と、西丹沢特有の白い花崗岩が美しい。F1がうまく巻ければあとは難しい滝もなくぜいぜい家の技術でもなんとかなりそうだ。とは言うものの詰めは枝沢が多く、現在地を把握するのは相当難しい。地形図の予想に反して楽に詰められるだろうと高をくくっていたルンゼは急登で枝尾根に逃げた。 |
旧白石沢キャンプ場から沢を道なりに登って赤い橋を渡り、堰堤を右岸から二つやり過ごしてから沢に下りる。左の沢に入り込まないように注意だ。更に1つ堰堤を左岸から越えていくと白砂の沢、ときどき魚影も見えるところだ。すぐに轟音とともにF1が現れる。いつ眺めても水量のある立派な滝だ。ここは滝下左のチムニーから巻くとあるが、もう少し左手に踏み跡があったので、そちらのが登り易そうに見えたので、やや大高巻き目の尾根を登る。実際登り始めるとかなり斜面は立っていて、下部は泥斜面がくずれるような感じ。数m登ってギブ、先に登った相方に念のためにロープを出してもらう。これがなかなかチャッチャとできなくてかなり恐怖心が増す。その上も木の根につかまりながらの登りなのだが、一度恐くなるともうだめでもう一度ロープを出してもらった。滝の方にトラバースしている踏み跡をたどると、そこは左の尾根から落ちてくる小さいルンゼがF1とF2の間に落ちている。下まで高さ10mといったところか。ルンゼの底が岩でが濡れていて着地したときに滑るとかなりいやらしいので、木に支点を取って懸垂下降ぶっつけ本番、結構うまくできた。落ち口に下りることを考えると、小さく巻いたほうが楽だったようだ。この巻きだけで1hもかかってしまった。巻きは途中いいところでうまくトラバース出来ず、どんどん高みに行ってしまうきらいがある。気をつけなければだ。 |
下りた所は左写真曲がった木のあたり、相方はこのすてきなナメ状のF2(3段15m)まで巻いてしまった。思ったほど滑らず快適に登る。 |
F2から上流はF3からF5までは深い釜を持っためくるめく滝が続く。左F3は右を簡単にへつれる。F4は釜をまたいで、左をへつった。ここは泳いで水流から登った方が断然おもしろかったかも・・・ |
左F5も深くここも左をへつってしまった。見た目ほど滑りません。アクアステルス快調です。F5上部の堰堤は右の方が巻きやすい。ここから上はしばらくはゴーロ帯だが、荒れていないので大きな石を越えたりとそれなりに楽しい。右はわざわざつっぱりで乗ってみる。こんな短いのじゃないと練習できないものね。 |
イワタバコもまだまだ咲いていた。薄暗い所に突如と現れる可憐なお花はお星様みたいでとてもかわいい。所々釜が現れざぶざぶ入って気持ちがいい。少しこけが増えてきて日本庭園の趣きも増す。 |
顕著な二俣は右俣が水晶沢で左俣を行く。左俣に導くように古びた鉄のロープが埋没している。ほんの少し壁が迫ってきた感じで、すぐに左手に古い崖崩れの跡がある。ゴーロを行くと倒木でできた小さな滝が2度ほどある。この上からナメが始まる。このあたりは全然標高の上がらないところだ。 |
ナメ帯を更に進むとS字状ナメ滝が現れる。沢幅は更に狭まるが、本当に美しいところだ。 |
と、楽しいアトラクション丸太登りが始まります。立ち上がって2歩で滑ってドボンでした。 |
この先で左岸に小さな滝を持った枝沢を越すと、標高1000mで沢は涸れ二股になる。このあたりで雨はかなり本降りとなり遠くで雷もひっきりなしに鳴り出した。尾根に出ない方がいいのかしばし悩む。地形図では左俣がいくつかの枝沢を分けて、ゆるくモロクボ沢ノ頭近くに詰めている。こちらを取るのだが、次の三俣は偵察に行くとどれも急なルンゼだ。ガイドには”ヤブコギもなく高度を稼ぐ”とあってこれを楽に登れると勘違いしたが、ヤブコギがないだけの話で急で登れなかった。この時点では”楽に”が頭にこびりついていて道を間違ったと思い、標高1000mの二俣まで戻り右俣を取った。頭上には登山道のある尾根が見えているので心配はしていないのだが、やはりこちらの詰めもきびしく詰められる気がしない。しかたなく左の斜面をスズ竹を7〜8本まとめてつかんで力ずくで登る。はあ〜やぶこぎだわ・・・荒い息で尾根にでると、あら登山道ではありません。一瞬迷ったかとどきっとするが、すぐに支尾根と判断し、稜線の尾根に向かって進む。これが結構長かった。相方がめずらしくへばり、私がガンガンやぶこぎしているのに、ずんずんと遅れだす。やっと稜線と思いきや、なんと支尾根のピーク・・・しかしそこからほんのわずかで登山道の1200P辺りに出た。モロクボ沢ノ頭よりは少し白石峠よりだった。ここから畦ヶ丸避難小屋までが長かった。避難小屋のベンチに着くころには雨もやみ、ここで昼食とする。そして10年越しでやっと畦ヶ丸の山頂に立った。いつも近くまで来ていたのに、時間切れだったり気力がなかったりでピークを踏んでなかった。そっけないピークだったけど、やっとつかえが取れたようだった。最後の詰めは忠実に沢を詰めたが、1000mの二俣の手前の右岸にに赤テープがあったようだ。同じやぶこぎだが、ここのがはるかに早く畦ヶ丸から善六ノタワよりの登山道のでられたようだった。 |
下りの登山道にはりっぱなブナがあった。沢に入ると10年前とは随分様相が変わっていた。本棚沢との出合いはハシゴで登った記憶があるのだが、ほぼ平だし、沢全体も大岩が大分流れてしまって、きびしさがなくなったようだ。なによりなんども濡れて渡渉したところは全部木橋が高めについていてらくちんになっていた。 |
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