小雲取谷〜雲取山(2017.1m)〜長沢背稜〜タワ尾根

★タワ尾根はバリエーションルートです。各自の責任でお願いします。
2009.5.3(日)〜6(水)
[1日目]5/3(日) 
自宅(10:15)〜<車>〜小川谷林道P(14:50/13:00)〜日原林道(15:20)〜八丁橋(15:55/16:00)〜
日原林道ビバーク地(17:20)     4h20’(歩行時間4h15’)
[2日目]5/4(月) 
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日原林道ビバーク地(7:20)〜長沢谷下降点(7:40)〜大雲取谷下降点(8:35)〜入渓準備(8:45〜9:00)〜
小雲取谷出合(9:30)〜F1(10:05/10:10)〜F3(11:35/11:45)〜1450mあたり(12:10/12:35)〜
1595mあたり水場(13:40/13:45)〜小雲取谷ツメビバーク地(15:15)    7h55’(歩行時間6h55’)
[3日目]5/5(火) 
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小雲取谷ツメビバーク地(7:20)〜雲取山(8:05/8:20)〜雲取山荘(8:40/8:55)〜大ダワ分岐(9:15)〜
芋ノ木ドッケ(10:15/10:20)〜<時計を落として戻る、昼食>(45分)〜ヤケトノ頭(11:45)〜
長沢山・1738m(12:45)〜天祖山分岐(13:15)〜タワ尾根分岐(14:00)〜酉谷避難小屋(15:00)
7h40’(歩行時間6h20’)
[4日目]5/6(水)
 
酉谷避難小屋(7:35)〜酉谷山・1718.3m(8:00/8:05)〜行福ノタオ(8:20)〜タワ尾根分岐(9:05)〜
ウトウノ頭・1587.9m(10:45)〜人形山・1176m(12:15/12:25)〜小川谷林道P(13:15)
5h40’(歩行時間5h25’)

[4日目]5/6(水)

いよいよこの縦走も最終日となった。予報では今日上がるはずの雨も期待に反して1日降り続くようだ。居心地のいい避難小屋だが腰をあげることにしよう。さてこのタワ尾根のバリエーションルートで実はとても不思議な体験をするのだ。それは本文を読んでのお楽しみとしてほしい。

丸1日降り続いた雨で、山はたっぷりと水分を吸い込み木々は気持ちよさそうだ。山全体が木の香とコケと土の何とも言えないいい香りだ。この香りは沢を遡行している時にも感じるものだ。展望も特徴もない酉谷山の山頂を踏み、昨日の登山道をタワ尾根の分岐まで戻る。昨日は自信を持ってここがタワ尾根と当りをつけておいたが、いざ戻ってみるとどこもそれらしい尾根が3箇所ほどあってかなり迷った。展望があれば尾根の向きや大きさ斜度などが見えるのだが、生憎霧の中だ。それでもタワ尾根の下り始めの地形や登山道が大きく回りこむ曲がり具合が、地形図と一致した所はやはり昨日当りをつけていた所だった。(右写真の標識のある所)

展望がまったくないので磁石をとりあえず向かうP1602に合わせておく。下り始めはゆるやかな広い尾根なのも地形図通りだ。所々に古い赤テもある。尾根がせばまるとなんと作業用モノレールが現れた。「あ〜ら、こりゃ読図も要らないじゃん、らくちん、らくちん」と思いきや、P1602のピーク手前でモノレールは南西の谷に下っていってしまった。地形図でもゆるゆるの尾根をさほどアップダウンもなく下っていく感じの尾根だが、P1602の前後やウトウの頭の一つ前のピークあたりは、岩場で尾根も狭く両手を使って登るようなところだ。この悪場を越えると目の前にウトウの頭のピークが飛び込んでくる。ここから不思議な迷走が始まってしまうのだ。忘れたころに現れる赤テはウトウの頭のピークを巻くように左手に向かっている。ここも長沢背稜得意の巻き道かなと思い、踏み跡もしっかりと左についている。迷うことなくこの踏み跡を進む。北東に尾根が派生していることは地形図でわかっていたので、そちらに踏み込まぬように注意しながら巻いていくと、二俣に別れた尾根にぶつかる。ここが地形図のウトウの頭を下った場所に違いなく、右の尾根に入り込もうとするが、どうも磁石が合わないし、踏み跡も薄い。そうこうしているうちに相方が「こっちだ」と踏み跡の濃い左の尾根に入る。地図の上では左の尾根は合わないのだが、磁石では合う。半信半疑で左の尾根に入ると、すぐに磁石は真北に向かっているではないか。ウトウの頭を登っているならともかく、真北はありえないでしょう。すぐに相方を呼んで、もとの巻いたところまで戻ろうと伝える。私は自信を持って戻っているのだが、相方はホワイトアウト状態で戻っている道が歩いてきた道かすらもわからなくなっている。やっともとの場所に戻り、ウトウの頭を巻かないで山頂を目指す。本当に信じられないのだが、山頂の三角点で調べると、三角点の北と磁石の北は45度ほど違っていた。三角点の方位で進むべき方位をあわせ、山頂を下っていくと先ほどの尾根の二俣にはぶつからず、なんなく尾根通しに右の尾根へと導かれていった。まったくきつねにつままれたようなのだが、なんとも理解しがたい事態だった。日川鉱山のダイナマイトが磁石を狂わせたのか、石灰岩地形によるものなのかわからないが、ウトウの頭はなにか不思議な磁力の出ているスポットであった。実際雨で展望はなく日も差していないのだが、不思議なもので南の方角はぼんやりと明るいような感覚はある。そんな自分の感覚もバリ歩きでは大切なことなんじやないかと、今回磁石が狂ったことで更に痛感した。そしてバリ下りでもトラバースは避けた方がいい。尾根通しにピークをたどって下ってこそ、道も明瞭にわかるということだ。トラバースが確実に巻き始めからから180度進んでいるとは限らないのだから。

ウトウの頭を過ぎれば、P1443、P1456のすず坂ノ丸とだんだん広葉樹の森に変わっていくので、歩いていても気持ちがいい。もっともどしゃぶりなんですけどね。踏み跡もだんだんとしっかりとしたものになってきて、安心して歩けるようになる。

P1325の金袋山を越し、P1176の人形山あたりで踏み跡は尾根通しではなく鞍部を目指すようになる。

するとふいに目の前にミズナラの巨木が現れた。巨木と言っても丹沢のブナのおっきなのぐらいだろうなと想像していたら、そんな想像をはるかに超えた大きなものだった。この角度でよくもまあ、何百年も倒れずにもっていたものだと感心する。とてもうちのカメラでは全体像を納めることができなかった。

この鞍部の広場がまるでこのミズナラの木の舞台ででもあるかのように、この大きな木はまん中で悠然と時を刻んでいたのだなあ。

ここからはジグザグに広葉樹の尾根を下ってゆく。ころばないようにスキーみたいにスリップするのなんかお手の物さ。やがて、ジグザグが杉の植林地帯へと変わっていき、大分下ったところで尾根をトラバース気味に行くと、籠岩だろうか露岩帯を通り越してそこからすぐに小川谷林道の登山口の階段に降り立った。車を止めたところは、ここから10分ほどの上手である。ぐしょぐしょの雨具を脱いても下のシャツまでぐっしょりだった。寒さに震えながら、それでものめこいの湯まで車を走らせて、つるつるの暖かい温泉を味わった。帰りは塩山からいつものルートで帰路に着いた。いい山行だったなあ。

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