笛吹川 東沢-釜ノ沢-東俣、甲武信ヶ岳(2475m)2日目

2008.7.20(日)晴れのち雨〜21(月)曇り
[1日目]
6:30西沢渓谷P〜7:00東沢堰堤7:20〜
(旧登山道迷走、崖を100m下って正しい登山道に出る)〜
9:40ホラノ貝のゴルシュ〜10:35山ノ神〜13:20釜ノ沢二俣〜
13:35魚止滝〜15:25両門ノ滝〜17:00広川原ビバーク地
[2日目]
8:00広川原〜10:50水師沢出合〜(ここから無名沢迷走)〜
13:55ガレ場〜14:35甲武信ヶ岳西登山道〜14:50甲武信ヶ岳〜
15:15甲武信小屋15:40〜16:10近丸新道〜17:30徳ちゃん新道〜
19:40林道〜20:15西沢渓谷P

1日目の降雨、2日目の道間違い等で大幅なCTが掛かっています。



甲武信ヶ岳

2日目
いよいよ道間違い迷走が始まってしまうのだった。これを記してしまうのはかなり恥ずかしいことなのだが、また同じ間違いをする人への警鐘になればと恥をしのんで記すことにする。現にこの日は私たちのほかにも沢の中の砂地に踏み跡があった。水師沢の次の分岐、ここは普段なら水流がなかったのかもしれない。たまたま前日の雨でにわかに水流が発生し私たちはここを木賊沢の分岐と誤認した。この名も無き支沢に入る前にコンパスで位置確認をするべきだったが、ガイドにある30m3段のスラブ滝を木賊沢から巻き、本流に戻るというのは間の尾根の高巻きと勘違いした。また、この尾根には無名沢に下りる微かな踏跡もあり、ますます間違いないと確信してしまった。4時間近くも悪戦苦闘してしまって、もう1本沢をやったみたいだった。まあ、標識に素直に従えば何の問題もないのにね。

広川原のビバーク地からは沢はかなりの倒木が塞ぎとても歩きにくい。この川岸は次のビバーク適地、かすかに古のクラシックルートの跡が続いている。奥秩父の良き雰囲気の場所なのだが短い。荒れた沢を延々飽きるほど歩くとやっと40m4段のナメ滝だ。1段2段目は簡単に登れる。3段目は大きな岩で、次の岩の窪みまでがちょっと遠いのが身長が低いと辛い。(下の写真)4段目は取付きがないので右か左を巻くのだが、左は途中までは問題ないのだけど、最後のザレのトラバースにどうしても腰が引けてしまう。しかたなく右手(左岸)の高巻きだが、斜面の大岩の右からぐるっと大きく巻いた。

滝を過ぎ、左俣に写真の水師沢を分けるところに甲武信小屋への標識がある。ここは素直に右に、ちょっと荒れたナメ地帯だ。沢床も黄色っぽくなる。

そうして、水師沢分岐から等高線で100m程上がったところが問題の無名沢だ。左の写真の丸い標識は右に矢印が指しているのに、これを右の沢を巻くと勘違いする。一応無名沢に入って上の方を偵察するといかにもな大きな滝地帯だったので、ガイドにある3段の滝と思った。右の沢(実は本流)を少し遡行してから間の尾根に取り付き、急峻なトラバースで無名沢に下りた。この滝を越せばあとはナメ地帯でポンプ小屋のはず・・・な期待を裏切って、越せども越せども急峻な滝が繰り返しやってくる。もう、さすがにおかしいと気づくのだが、もはや引き返すことは不可能だった。

沢は更に険悪になってきて、すべて滝地帯だ。何度か左の斜面を大高巻きする。もはやこの時点でシャツは泥で真っ黒だ。霧が深いのですぐ先しか見えず、標高も中々上がらず、状況がつかめない。だいぶ上がったときに二俣となった。たぶん2250mの左に大きな崩落が記してあるところだろう。ここは右しか行けない。もう一度二俣に出合う。ここは野生の勘で、右の樹木で塞がれた沢を選んだ。

しばらくで、やっと源流の様相となってきた。まだ霧でよくはわからないのだが、なんとなく空の広さがわかる。助かったと思った・・・それもつかの間、源流部の先は傾斜のきつい砂と岩がミックスのどうしようもないところだった。爪の間から血もにじむ・・・それでも、前方には稜線らしきものが見えてきた。もうこれ以上このザレは無理というところで、左手の鬱蒼としたトウヒの尾根に逃げた。たぶん、ここで唯一の逃げ場だったと思う。密集した枝を力ずくでかき分けて、そしてふいに登山道に出た。腰がへなへなとくだけるのがわかった。本当にこの悪場から脱出できたのだ。沢で、繰り返しやってくる滝に涙もなく泣いた。そして、山頂でうれしくて泣けた。

もう誰もいない甲武信小屋で、小屋番さんたちと語らいながら装備を解いた。自分達の気持ちを平常に戻すためには、誰かに話を聞いて欲しかった。そしてつかの間の時間は、また私たちが登山道を下って行けるエネルギーを与えてくれた。

あまりにもとんがって刀のように鋭くなっていた心は、お花たちに目をやる余裕など微塵もなかった。淡いピンクのシャクナゲがこんなにきれいだったなんて・・・

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